【投稿日 2022/08/27  更新日 2022/09/05】

AV新法を分かりやすく解説!女性側の被害防止メリットや出演側のデメリットも

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AV業界従事者にとどまらず世間を騒がせた『AV新法』。そもそも正式名称を知らなかったり、施行後は具体的にどのような変化があるのかを知らない子も多いかもしれません。

一見すると「女性の被害者を減らす」というざっくりとした女性にとってのポジティブな印象がありますよね。ですが実際にAV業界で活躍する大物AV女優・ベテラン男優さんからも非難や疑問の声がSNS上で挙がったりと現場は混乱している状態なんです。

今回の記事ではAV新法を、”AVの仕事に興味がある女性目線”でできるだけ分かりやすく解説し、AV女優としての立場からどのようなメリットやデメリットがあるのかを一緒に考えてみます。

AV新法ってなに?

俗にいうAV新法は、正式名称を『AV出演被害防止・救済法案』といいます。文字通りAV作品に出演する出演者が望まない形の契約や強要出演してしまうのを未然に防止したり、すでに結んでしまった契約や出演作品で悩む人を救済するために作られた新しい法案のことです。

このAV新法は2022年6月15日の国会で与野党の全会一致(賛成多数)によって可決(承認)・成立され、6月22日から施行されています。

ちなみに、AV新法は女性の被害者にフォーカスされがちですが、作品に出演する男優さん側の被害防止や救済も担っているので、特別に「女性優遇の法案」というわけでもありません。ただ、今回AV新法と話題となり疑問や反対の声が挙がっている背景には、「現場への十分なヒアリングを行っていなかった」ことや「被害者への救済処置に比重を置きすぎている」という点が大きな問題となっているようです。

AV新法が施行されて変わったこと

現在の成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたことによって同時に議論に上ったAV新法。この新しい法案が施行されると、今までのAV業界にはさまざまな変化や問題が生じると言われています。制作陣、販売元メーカー、プロダクションなど各分野にAV新法の影響が出ていますが、この記事では”出演する側”に関係のある大きな変更点をピックアップしてみました。

出演作品ごとに事前の契約が必須に

今回のAV新法施行後からは、出演する作品ひとつひとつに対して事前に契約を交わさなければいけなくなりました。新法の施行前から現役のAV女優さん・男優さんから「さっそく仕事がなくなった」と不満の声が上がった理由のひとつでもあります。

撮影1ヶ月前には契約書を交わす

AV新法施行後は【最低でも撮影日の1ヶ月前】には契約を交わすことが義務付けられ、撮影日当日の契約ができないようになりました。

今までの流れでいえば、出演者は企画や撮影の話を聞き、ギャラや撮影にかかる拘束時間を知り、日程調整などをしたうえでいよいよ当日に契約を交わして撮影開始、という流れが一般的。そのため、新法の施行前後の期間と重なって撮影話を進めていた制作陣は法律違反をしないために企画そのものを一斉に保留・キャンセルする事態に。【事前契約の義務】や【1ヶ月前ルール】によって、出演者たちからは”急に仕事やスケジュールが飛んだ”という声が挙がりSNSでも話題になりました。

口頭⇒書面主義に

AV新法が施行される前までは口頭で説明を受けることも多々あり、ギャラや出演契約などの大切なシーンでのみ書面を使う流れが浸透していました。それが今回の法案からは作品の詳細内容などもしっかりと書面で明記しなければいけなくなったのが大きな特徴です。

撮影のシナリオやストーリー展開、出演者の演技に関する監督からの要望や大体の拘束時間など、現場の判断によって多少前後することも。しかし書面での説明および契約書があれば、「契約内容と違う」というトラブルを回避できるようになったので、出演者からすると心強い変更かもしれませんね。

安全面の配慮や説明義務の強化

事前説明義務の内容や出演者への安全配慮も大きく変更されました。制作側は出演者や撮影現場の安全面をしっかりと考慮し、撮影にまつわることについては事細かな詳細の書面開示を義務付けられたため、「危険な目に遭った」「事前に知らされていなかった」という被害を食い止めることができるようになりました。

意に反する性行為は拒絶できる

AV作品の中には過激な性的プレイや本番行為を求められることも多いので、AV女優・男優問わず肉体的にも精神的にも大変な演技をこなすこともあります。

もちろん事前に演技内容などの詳細を知っていたうえで承諾することもできますが、今回のAV新法によって、自分の意に反した撮影であれば拒否できるように変更されました。

また、承諾や同意のない本番行為や性行為の強要に対しても厳しく罰せられることになりました。「ヌードのイメージビデオだと思ったら男優と絡みがあった」「疑似本番と聞いていたのに本当に本番された」というような被害者を救済するためのルールでもあります。

AV新法によるメリット

出演や契約を取り消せるようになった

AV新法はAV出演や契約を後悔する人を救済するための対策法案なので、「こんなはずじゃなかった」と泣き寝入りをすることなく解決するために積極的に行動に出ることができます。

  • 契約を破棄したい
  • 発売されたAVを回収してほしい
  • 演出などは事前にきちんと知らして欲しい

被害を防止・救済するための要望を声を大にして制作サイドに訴えることができるため、AV出演や契約を後悔しないための安心材料になってくれるでしょう。

騙されて出演させられるリスクが減った

AV新法の施行によって児童ポルノ禁止法や契約変更、虚偽の内容などに対する審査がより一層強化されました。「読モ撮影だと思ったらAVだった」「口契約で撮影が決定した」「出演したのにギャラの支払いがされない」などのトラブルを解決するために一役買ってくれる心強い法律です。

AV新法によるデメリット

現金がすぐに手に入らない

作品への出演契約から撮影までに1ヶ月の期間を要するので、「すぐにお金がほしい」と思って出演を決意した人にとっては収入が手に入るまでの時間が引き伸ばされてしまうことになります。

出演者の”差し替え”を頼めなくなる

AV撮影まで1ヶ月経過しなければ撮影ができないというルールから、「その間に体調不良になったらどうしよう」「出演に腹をくくったのに気が変わってしまうかもしれない」という悩みや不安がSNSでも見受けられます。

特に体調面での問題は歴のベテランのAV女優・俳優にも関係してきます。今までのやり方では同じプロダクションの人に代打として穴埋めをしてもらうなど融通が効きましたが、新しいAV法案では”差し替え”は実質不可能な状態です。

同人AVとのトラブル

ひとつひとつ契約するのが手間、お金や撮影日のスケジュール感が合わない、厳しいルールが逆に面倒…今回のAV新法に対してこれらの不満を抱えている出演者も多いです。そんななか、不満に思っているAV女優に「うちで出演しませんか?」と声をかけているのが【同人AV】と呼ばれるインディーズのAVメーカーや制作陣です。

全ての同人AVが違法とまではいいませんが、ルールが曖昧なぶん一番トラブルが頻発している業界でもあります。違法な同人AVについて、危険性や出演リスクなどを別の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてくださいね。

まとめ

AV新法は強制的にAV出演をさせられた女性や同意のない演出に悩む女性を救済し被害者を増やさないために考案されたのが元々の始まりです。他の法案に比べて可決が早かったことから各方面から改善を求める声が挙がったり、現役で活躍するAV業界の関係者が施行取り下げの署名活動を行っているなど未だに話題が尽きません。

すでに施行されているのでルールに従う必要がありますが、違法同人AVや個人撮影ポルノなどにはまだまだ危険やリスクが潜んでいます。AV女優志望で業界に興味があるのであれば、自分の身を守るために【知ること】と【きちんと判断をすること】が大切です。